テレビの地域ニュースで、山積みの野菜や惣菜を袋に詰め込む光景をよく目にします。
必死に詰め込む姿を見て「そんなに食べきれるの?」と、つい口にしてしまいそうになりますが。 ある日のインタビューで、非常に興味深い一言を耳にしました。
「これ、近所に配るんです」
この言葉を聞いた瞬間、私の頭の中でパズルのピースが埋まりました。 「詰め放題」は単なるサービスではなく、実は地域に根ざした 「最強のマーケティング」 なのではないでしょうか。
過剰なサービスは「広告費」として処理できる
赤字覚悟に見える「やりすぎ」な詰め放題は、もはや「広告宣伝費」と呼ぶべきものです。 ニュースになるほどのサービスを提供できる店は、ユーザーへの還元を戦略的に考えています。
- 広告・宣伝として完全に割り切っている
- 廃棄ロスを「話題性」に変える賢い転換
- 店への好感度を爆発的に高める「体験型」広告
制限がゆるく、寛容な詰め放題を提供してくれる店に対して、訪れた人はまず否定的な感情を持ちません。 むしろ、袋がはち切れそうな 「勝利の体験」 が、店への強烈なロイヤリティに変わるのです。
「お裾分け」という名の、最も信頼されるサンプリング広告
「近所に配る」という行為は、メーカーが駅前でポケットティッシュを配るのとは全く次元が違います。 それは、地域の中で最も信頼される 「口コミ付きの無料サンプル」 になるからです。
詰め放題で得た「お宝」を近所に配ることで、普段その店を知らなかった層まで商品が届きます。 「これ、〇〇商店の詰め放題ですごくお得だったのよ、食べてみて」
この一言が添えられた瞬間に、その商品は地域内での認知と信頼を同時に獲得してしまいます。

賛否両論の裏側にある「お裾分け」の心理戦
もちろん、ネット上では「近所に配るなんて迷惑」「そこまで必死に詰める必要ある?」といった冷ややかな意見も見られます。 確かに「お裾分け」には、受け取る側の心理として2つの側面があるのは事実です。
- 正直いって助かる(ちょうど欲しかった、自分では買わないけど嬉しい)
- 正直いって困る(処理が面倒、お返しを考えなきゃいけない)
しかし、もしあなたが 「いつも良いものをくれる人」 というポジションを築いていれば、肯定的な意見が勝ります。 店側からすれば、この「お裾分けの成功率」が高いほど、マーケティング効果は最大化されるわけです。
結局、私たちは「お祭りの熱量」をお裾分けしている
詰め放題に並ぶ人は、単に「安さ」だけを求めているわけではない気がします。 あの場所にある「お祭り」のような熱量、それを袋に詰めて持ち帰り、誰かにお裾分けしたい。
その衝動が、結果として店を支える強力なファンコミュニティを形成しているのです。
「配りきれないほど詰める」という一見すると身勝手な行動。 実はそれが、地域の喉元まで店の名前を浸透させる、最も効率的な宣伝活動になっているのかもしれません。
ワイ(私)も、次に見かける詰め放題の行列は、 「動く広告塔の皆さん」 として敬意を持って眺めることにします。
